噂に名高い名作ADV【ナルキッソス】をプレイしてみた。
どうも!ブログ管理人のカミカミ大王(@kamikamichannel)です。
初リリースは2005年ってことで、もうかれこれ15年以上も前のアドベンチャーゲームですが、以前から「かなり良い!」という噂を聞いてた【ナルキッソス】をようやくプレイしてみました!
ネットでは噂をよく見かけたのですが、いざプレイする時に楽しさ半減したら嫌だったんで、出来るだけ情報などは見ないでプレイ!
一通り終えたので、感想など述べてみます。
とりあえず前提として…
まず最初に言っておきますが・・・この作品は厳密にはゲームとは呼べないかも?と思います。
ジャンルとしてはアドベンチャーゲームになりますが、選択肢はなくただひたすらにテキストを進めていくだけなので。
言ってしまえば・・・電子書籍に近いんじゃないですかね?
なのでプレイした人にとっては、ゲーム的に面白いかどうか?での評価ではなく、イチ作品としてどうだったか?っていう感想になるんじゃないでしょうか?
また、ストーリー的に大きなヤマ場があったり、なにかしらの展開があったりするものでもなく、良くも悪くも終始淡々と進んでいく(特に「1」)ので、普段から本を読み慣れてたり、なんせ活字に慣れてる人にとってはなんてこともないんですが・・・そうじゃない人にとっては正直そのへんはちょっと苦痛に感じるかも?
まぁ言うても、ボイス有りならテキスト読まなくても耳で聴いてればほぼほぼOKなんですけどね(^_^;)
管理人は一応、順番通り「1」からプレイし始めて、その後に「2」をプレイしたんですが、時系列としては「2」→「1」なんですよね。
なので、時系列順でプレイしたほうが分かりやすいって場合もあるかも?
むしろ、「1」→「2」と読み終えてからさらに「1」を読むと一層理解が深まって良いかもしれません。
全体的には、「1」「2」共通で
死生観に関する物語
となっていますが、主人公やその周りの配役的に「1」は「若いカップルの逃避行」がメインになっていて、「2」は「女の子2人の友情物語」って感じのテイストです。
扱うテーマがテーマなだけに、全体的に重たい雰囲気ではあるものの・・・淡々とストーリーが進行していくので、「読んでいくごとに気持ちが凹む」ってことはないかと。
・・・まぁそれは人によりけりかもですが。。。
眩しかった日のこと そんな冬の日のこと
まずは「1」の方の感想をザックリ述べていきます。
上記でもあげましたが、基本的には「余命幾ばくもない男女2人が、車で逃避行する」というストーリーです。
冒頭で、数年間の日本の自殺者数が出てきますが、コレがもう既に結構なんというか・・・生々しいんですよね。。。
治る見込みもない病に冒され、ただ死ぬ時を待つだけの生活・・・。
それが嫌なのは分かってるけど、だからといって何をどうこうする力も手段もない、絶望することさえも諦めてる・・・そんなヒロインと、同じくそういう状況になってしまった主人公。
全てに達観して冷めてしまっているヒロイン ”セツミ” に対して、まだそこまで自暴自棄になっていない主人公が、あるキッカケで車を入手、2人で水仙郷を目指します(水仙 = ナルキッソスですね)
勿論、ずっと病院で入院していた2人ですから、道中でも色々と困ったことが起こったりするわけですが、そのへんはなんというか・・・まぁ巧く切り抜けたりで、ついに水仙郷にたどり着くのだが・・・って感じのストーリーですね。
全編通して基本的にはそんなに大きな起承転結もなく、淡々と二人の逃避行が描かれていて、そこがまたこの作品の雰囲気に合っていました。
てか、むしろそういう雰囲気を作るための作風なんでしょうけどね。
映画で言うところのいわゆるロードムービーっていうジャンルに近いです。
最近でこそこういう雰囲気の作品(生と死をテーマにしたロードムービー的なやつ)は結構よく見かけますが、当時(2005年リリース)はあまりなかったのもあってインパクトあったんじゃないかと思います。
所々でちょっと現実的じゃなさすぎる描写がありますし、「男女のカップルが逃避行」っていう骨子があるので、ラブロマンスとかファンタジーとか・・・そういうのが好きな方には「1」は結構ハマるんじゃないでしょうか?
管理人としては、ブッチャケそこまで手放しに「良い!」とは言えなかったです。
勿論・・・要所要所で少し涙腺に来る場面はあったんですけどね(^_^;)
眩しかった日のこと そんな夏の日のこと
続いて「2」の方の感想です。
コチラは「1」と同じく余命幾ばくもない状態の女の子(”子” じゃないかもですが)”姫子” がヒロインとして登場、「1」みたいな男女の絡み(イヤラシイ意味じゃないよ)はなく、序盤は姫子とその親友の女の子である ”優花(ゆか)” 、妹 ”千尋” との3人模様で、中盤から「1」のヒロインである ”セツミ” と姫子の絡みがメインになってきます。
姫子は女だてらに車大好きで、自身でチューンした愛車ユーノスを乗り回し、親友の優花と一緒に人生楽しんでいたのにホスピスの7Fに入ることになってしまい、そこでひょんな事からセツミと知り合って・・・ってなストーリーですね。
姫子と千尋はボランティアで病院の7Fでヘルパーをしていた(している)のもあって、その経験で自分(姉)がどういう状態か嫌でも感づいちゃうってのが・・・リアルでキツイです。。。
この「2」は親友の優花のキャラ造形がまた絶妙で、「ホントに良い友達だなぁ」とテキストだけで想像できちゃうのは秀逸だと思います。
ブッチャケ「1」はそこまで琴線に触れるシーンってなかったんですが、「2」は結構・・・てか、かなり泣きました(ToT)
まず「チャプター3:姫子2」、冒頭での3人のやり取りでジワジワ来て、その後の姫子と優花2人のやり取りで涙腺が崩壊しました。。。
そして続いて「チャプター4:15の夏」で、セツミの境遇というか環境に変化が出るんですが、その時のお父さんの台詞が・・・ちょっともうダメでした。。。
ワタクシ…大号泣です!(ToT)
いや、ホント・・・家庭(家族)を持つって、そしてその家族が大変な事になって、でもそんな家族のためにしてあげれることを自分の身を顧みず出来るだけしてあげてって・・・このお父さんとお母さんの姿がホントに泣けます。。。
さらに「チャプター11:八年もののワイン」もちょっとヤヴァかったです。
あと、ココの ”ある” シーンは「1」とシナジーがあるので・・・やっぱ順番通りにプレイしてたほうが良いかも?(^_^;)
そして終盤、「チャプター15:半分の祈り」もかなりヤヴァかったです。。。
「1」から続く ”7Fの住人のルール” がこんなにも悲しく切なく儚いものになるとは・・・(ToT)
続く「チャプター17:ロードスター」は開幕でヤラレました。
お母さんの心情・感情が伝わってきて涙腺崩壊でした。
と、こんな感じで「2」は結構泣き所が多かったです(;´∀`)
「1」&「2」の良かった点・悪かった点
流石に名作と言われるだけあって、引き込まれる内容で、終わった後にも色々と考えさせられる事が多かったです。
それでは良かったトコロと悪かったトコロをあげていきます。
良かったトコロ
ストーリー自体は普通に良かった
管理人は性格的に、ゲームに限らず漫画や映画なんかでも、安直に死を絡めたストーリー展開ってあんまり好きではないんですが、この作品はテーマそのものが「死ぬこと」に関してですし、それにその「死」というものを単なる舞台装置やお涙頂戴のスパイスに使っていないので良かったと思います。
演出も良かった
キャラの立ち絵もほぼなく、純粋なノベルゲーだからこそ演出面は気を使ってたんだろうな~って感じました。
テキストの表示時間がキャラや場面によって違ったり、BGMやSEの挿入タイミングも巧かったです。
また、ノベルゲーなので当然ながらほぼテキストのみで情景や心情を表現しなければならないですが、だからといって変に説明的なテキストがあまりなく、ごく自然にイメージできるような文体だったのも良かったです。
・・・が、正直コレは自身や近しい人がそういう境遇(病院に長期入院するとか)になってみた事があるとか、医療関係の仕事してる(してた)ってのじゃないと、ピンとこない人は居るんじゃないかと思います。
BGMはかなり良かった
メインテーマは歌詞の有無に関わらずかなり良いですね!
なんと言うか・・・ホントにこの作品のイメージに合ってると言うか、BGMを聴いただけでシーンが蘇ってくると言うか。。。
挿入歌のタイミングもかなりヤヴァイです(苦笑)
悪かったトコロ
全体的に良く出来てるんですが・・・いくつか気になるマイナスポイントがあったのも事実ですので、そのへんを忌憚なく述べてみます。
セツミ役の声優さんの力不足感
まずひとつ目として・・・セツミ役の声優さんが正直ちょっと微妙かな。。。
大人しくてクールっていう性格設定だからこそあの演技なのは分かりますが、それにしてももうちょっと巧く演じてもらいたかったです。
姫子や千尋、優花、お母さん役などなど、周りの声優さんがみんな一定以上のレベルなのもあって、余計にセツミの演技が残念に感じました。
特に姫子役の方は色々と難しい設定のキャラクターだったのに、リアリティも感じられて個人的にはかなり良かったので、「2」では余計に対比が明確になってセツミ役の方は残念な感じでした。
UIがあまりにも使いにくい
コレはもう、古いゲームだからある意味仕方ない部分ではあるのかもしれませんが、とにかくUI関係が最近のゲームに比べると致命的に酷いです。。。
コンフィグ項目がかなりショボイ
一応、コンフィグはあるんですが、そこでイジれるのは基本的には音量のみ、画面サイズやテキストスピードも項目としてはあるものの、かなり貧弱貧弱ゥゥ!!
あと・・・電源を落とすたびにコンフィグ設定が初期化されてる気がするんですが。。。
コレも地味に結構なストレスになりますよね(-_-)
基本操作の説明がどこにもない
そして困るのが・・・基本操作の説明がどこにもないんですよね。。。
コンフィグ画面でテキストのオート時のスピード設定はできるのに、そのオート設定の仕方がどこにもないというね(苦笑)
同じ事で困ってる方のためにココで書いておきますが・・・
テキストオートはキーボードの「A」、テキストスキップはキーボードの「S」
コレで機能します。
てかコレ・・・どこに書いてます??もし管理人が気付いてないだけならゴメンナサイですが、どこにも説明無いのは流石に不親切すぎるのでは。。。(-_-)
特にスキップのほうは、実績解除のためにもかなり必要度の高い機能なので。。。
ギャラリーモードがない
まぁコレもある意味仕方ないのかもですが・・・ギャラリーモードがないので、数少ないせっかくのCGを好きな時に見返すのが出来ないのは残念ですね。。。
そもそもビジュアルに頼らない作り方をしてるからあまり必要ないということなんでしょうか?
製作者からのメッセージなどが全て英語
コレも個人的にはかなりマイナスポイントでした。。。
せめてコピペ出来ればそれをそのままグーグル翻訳にかけれるんで良かったんですが、ドラッグ&ドロップも出来ないので自分で手打ちしないとダメですし、英語が分からないと正直読む気にならないと思うんですよね(´・ω・`)
一応、ザックリ目を通してなんとなく分かる範囲で意訳して読みはしましたけど・・・やっぱこういうのって「製作者がユーザーに伝えたいこと」のはずで、ユーザーとしてもそれを知りたいものなので、それが伝わりにくいってのは本末転倒なのでは?って気がします。
ココはちゃんと日本語テキストも用意して欲しかった。。。
番外編:【ナルキッソス】好きなら観て欲しい個人的オススメ映画
管理人は映画結構好きで色々と観てるんですが、この作品とコンセプトが似てる映画って結構多いんですよね。
なので、独断と偏見で、「ぜひ観て欲しい映画」をいくつかご紹介したいと思います。
ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア
1997年の映画なんですが、余命宣告された主人公が相方と一緒に車を奪って海まで逃避行・・・って内容です。
主人公も相棒も男なので、そこにラブロマンス要素はないですが・・・ザックリとしたあらすじでも想像できるぐらいに、ナルキッソス「1」はコレを元ネタにしてるんじゃないかなぁという気はします。
別にそれが悪いととか二番煎じだとか言いたいわけじゃなく、単に似た作品があるということなので、ナルキッソスガチファンの方は怒らないでね(^_^;)
死ぬまでにしたい10のこと
「2」の作中にも出てきてましたね。
もう20年近く前の作品ですが、管理人は「終活映画」と言えば、なんだかんだでこの作品のイメージが強いです。
主人公が23歳の女性なので、キャラ設定的に姫子と結構カブるんじゃないでしょうか?
・・・まぁこの映画の主役は夫・娘有りなので、そのへんは姫子とは真逆ですが(苦笑)
てか、「2」の元ネタはこの映画なのかな?って気もしますね。
50/50 フィフティ・フィフティ
コチラは重たいリアルなドラマってんじゃなくてコメディタッチって感じなので、結構気軽に観やすいかなぁと思います。
主人公の青年とその親友の関係性が良いんですよね~!
姫子と優花もそうですが、なんだかんだで「親友だからこそ」ってのが分かる演出には泣けますね。
脚本家ウィル・ライザーの実話を基にした作品ですが、だからといってリアリティ重視じゃなく、お涙頂戴な感じで作られてないからこその良さがありますよ(^_^)
最高の人生の見つけ方
コレは主人公2人がともに男性老人なので、ちょっと上記らとは毛色は違うんですが・・・余命宣告された主人公っていうので紹介しときます。
主演がモーガン・フリーマンとジャック・ニコルソンという名優2人なので、演技には安定感があり、内容もハートフルな感じなので観やすいかと思います。
【ナルキッソス1&2】感想 まとめ
・・・と、そんな感じでした。
ちょっと辛口になってしまったかもですが、作品自体にはメチャクチャ満足してるだけに、それ以外の部分で大きく損をしてしまってるのは非常に勿体ないと思うので、あえてちょっとキツめに書かせていただきました。
なので冒頭でも少し触れましたが・・・「ゲームとしての評価」は正直微妙かと思います。
ですが、ひとつの作品としての完成度はかなり高いかなぁと。
総じて、プレイして絶対に損はしないと思いますし、まだ未プレイの方にはぜひプレイして欲しいとも思います。
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